【東京本部】俳句同好会
(五十音順)
木田俊治
水やりの妻のハミング夏はじめ
千年をただ真直ぐに夏木立
一刷けの広重ブルー溽暑去る
考妣とはここでお別れ秋彼岸
深々と香具師の一礼秋祭
近藤陽明
星月夜ビルの灯遠き屋形船
おしまいは音を束ねて揚花火
ひさびさに星座を探す熱帯夜
海峡の島真向かいに天の川
喉を越すゴーヤの苦み独り酒
谷口一郎
楽終えて止まぬ拍手や夏木陰
そうめんを洗ふ漢の昼さがり
繰る雨戸もくせいの香のいづこより
曼珠沙華鼻先欠けし石地蔵
長き夜や小腹すかせて目覚めをり
野地邦雄
齷齪と生きて喜寿なり石叩き
斑鳩の塔の風鐸夜半の月
糸瓜棚子規の知らざるピザを食む
実石榴や結び決まらぬ詫び手紙
気圧されて本音飲み込む穴惑
長谷川伸八
夕餉終へ妻はいそいそ夏期講座
廃屋の小さき庭に秋の蝶
木犀の香に誘なはれ歩みたり
電気屋がコンビ二となり鳳仙花
枝豆を残し二人の夕餉かな
林 三平
ほろ酔いの夜道に幽か虫の声
足弱の我を後押す法師蝉
花もくげ想ひは遙か韓の国
新札に夢でも見るか梅雨晴間
停戦の見通し立たず秋の虹
古田陽久
夏料理格別美味なひつまぶし
夏の日や源氏絵巻を味わいぬ(徳川美術館にて)
秋の夜や友の挽歌を詠みにけり
飛鳥山路面電車と蝉時雨
思い出の銀杏並木や秋の風
山田良男
季節あり日比谷公園蝉しぐれ
やうやくに背丈揃へる彼岸花
健康が予知の源泉秋茜
蝉しぐれ周平文庫重ねつつ
生きてゐる色濃く光る青田かな
▶連絡先:野地邦雄 ken-noji@miomio.jp
*当俳句同好会は通信句会です。
会員の句稿を送っていただき、会報に掲載します。
参加希望の方、俳句に興味のある方は野地までご連絡ください。