【東京本部】俳句同好会

林 三平

紛争地の子らの叫びか虎落笛
春泥や平和の兆しまだ見えず
被災地にいつもの如く桜咲き

近藤陽明

海峡をつなぐ大橋鳥帰る
旅立ちの祝ひと捌く桜鯛
春愁や手紙いくども読み返す

谷口一郎

画架を背に似顔絵描きの日向ぼこ
背伸びして水面をたたき春の鯉
散る花や逆転で舞ふ天女の像

山田良男

熱燗や酒の銘柄上喜元
菜の花や背丈違えど皆満開
親と子の会話が響く枯木立

木田俊治

月寒しデモの女神の雲隠れ
雪晴や癌克服の便り受く
復興を支ふ重機や能登の春

古田陽久

泡盛のルーツ求める旅路かな
吉野路の千本桜を想ひけり
桜咲く空海眠る奥の院

野地邦雄

左義長やあまねく武器を投げ入れよ
無器用に生きて晩年海鼠食ふ
春泥を跳び越えやうと子と子犬

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