【寄稿】中国湖北省恩施州について

古田陽久(74126)

中国湖北省教育庁と湖北民族大学民族学・社会学学院(湖北省恩施トゥチャ族ミャオ族自治州-略称恩施州-)から、白松強(Mr.HAKU Syokyo)先生を通じて講演の依頼を頂いた。前回の出張は2023年11月で2度目のお招きである。白松強先生は、同大学の副教授で、拙著「ユネスコ遺産ガイド―中国編―総合版」の共同監修者で、私の講演の通訳も兼ねている。講演のテーマは「日本の伝統芸能の現状と課題-ユネスコ無形文化遺産からの観点-」、さらに貴州民族大学文学院(貴州省貴陽市)主催の学会での発表もあった。

今回は成田から北京首都国際空港経由で中国入りした。久しぶりの第3ターミナルは広くて、入国手続き、荷物の受け取り、宿泊ホテルからの出迎えの人との合流に戸惑うことが予想されたが、運が良いことに、機内で通路を挟んだお隣の数少ない日本人が親切に案内してくれた。話をしているうちに中国人であることが分かり、名前は陳國華(Mr.CHEN Guo Hua)さん、貿易関係の仕事をされているようであった。私も以前、日商岩井という総合商社に勤めていたと伝えると、大変驚いて、彼は現在北京でヤマカミという貿易会社の総経理をされているとのこと。共通の知人の名前に接し大変懐かしく、このご縁を大切にしたいと思った。

恩施州には約1週間滞在した。恩施州は恩施玉露の産地で、トン族の茶畑等を案内してもらった。今回は、大学だけではなく、外事弁公室国際交流科からも声をかけて頂いた。日本における友好都市のパートナーを探しているという。相互の観光需要を高め、韓国に続き、恩施許家坪空港から日本へ直行便を飛ばしたい意向だ。恩施州の観光資源としては、世界ジオパークの「恩施大峡谷」、世界遺産の「唐崖土司城遺跡」、世界無形文化遺産の「中国の伝統製茶技術とその関連習俗」(「恩施玉露」等)などがあるが、日本ではほとんど知られていない。観光だけではなく、日本企業の誘致等に伴う人的交流も望まれるところであろう。       

古田陽久(ふるたはるひさ)

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