【大阪支部】第3回秋のウォーキング
第3回 秋の親睦ウォーキング
~2025年11月12日(水)に 天王寺七坂を~
期待していた小春日和とまではいかないものの、雨は勿論木枯らしにも見舞われることのないのどかな晩秋の一日、名所旧跡を楽しむ歴史散歩に出かけました。秋のウォーキングは紅葉を愛でることを主眼に企画してきたのですが、今回は趣向を変えて大阪市内の上町台地に分布する風情ある坂道を中心に、宗教・文化・芸能に造詣を深めていただくこととしました。この試みに伴い、現地の事情に詳しいボランティアガイドさんに午前の部の案内をお願いしました。
10時に谷町9丁目の交差点に集合。ここは交通量が多いので、オリエンテーション、準備体操がスムーズにできるように生玉公園に移動し、全員の集合を確認して出発です。今回は3名のガイドさんの案内により26名の参加者は3班に分かれて、少人数での移動となりました。
七坂の皮切りはまず真言坂。他の六坂はすべて上町台地と松屋町筋を東西に結ぶ坂ですが、この坂のみが南北に走ります。ガイドさんのユーモアを交えた案内に首肯したり微笑んだりを繰り返しながら、生國魂神社(いくくにたまじんしゃ)にお参りをします。歴史に加えて本殿と幣殿の屋根が一体化した独特の建築様式の説明を受けた後、源聖寺・金臺寺といった下寺町に点在する寺院を左手に見て源聖寺坂を見上げます。上り始めは石畳の緩やかな坂道の様相ですが、半ばを過ぎたあたりから勾配が急になるとともに右に大きくカーブして階段に変わる様子は、七坂の中で最も趣のある坂ともいわれています。坂を上りきり右手に曲がって齢延寺・銀山寺、それに青蓮寺・月江寺と今度は生玉寺町の諸寺の門前を通り抜け松屋町筋に下ります。
次に待ち受けるのが口縄(くちなわ)坂。下から見上げた坂の起伏がくちなわ(→くつな→蛇)の腹に似ているのが名前の由来とか。行程をほぼ予定通りに消化して、昼近くのエネルギー補給が必要な時間帯での登攀に、皆さんの足取りが重く見受けられました。谷町筋に出て、少し北へ戻ると昼食を予定している区民センターに到着です。お待ちかねの昼食時間を挟み、センターに展示されているジオラマや写真等を鑑賞したり、ガイドさんから浪速百景・天王寺七坂の詳細な説明を聞いていると午後の出発時刻になりました。センター入り口で全員の記念撮影をし、ガイドさんたちに別れを告げて南に歩を進めます。
まずは勝鬘院(しょうまんいん)、通称愛染堂の境内へ。通称の愛染堂は、本尊の愛染明王によるものです。愛染祭りは大阪三大夏祭りの一つで、三大祭りのトップを切って6月30日から3日間行われます。参加者は、愛染坂か101段の階段を下り、清水坂は風景を眺めるにとどめて、清水寺で京都の清水寺の音羽の滝を模した玉手の滝の前で一休み。昔は上町台地内を水源とする滝だったのが、地下鉄谷町線の掘削工事の影響で水脈が絶たれたため循環式の滝にしたとの事。便利さの代償に情緒が途絶えたのは残念です。墓地の中の階段を上っていくと西に開けた舞台にたどり着きます。左手に通天閣が望め、夕景色が期待できそうな情景です。
次の天神坂でも、かつての上町台地内を水源とした湧水の雰囲気を再現したモニュメントを見ることができますが、今は湧水はなく往時を偲ぶしかないのは残念です。ここから逢坂へのルートは階段を上って安居神社を経由するか、なだらかな道を通って直接逢坂に出るかの選択となり、神社を経由した人は真田幸村終焉の地としても知られた境内を散策して、逢坂で2グループの合流となりました。
目的の天王寺七坂を踏破し、午後の部もそろそろ大詰めになりました。「お骨佛」の寺として有名な一心寺と同シアターを訪問し、茶臼山登山の後は最後の目的地統国寺です。下山後何人かは帰路につかれるため、次回春のウォーキングでの再会を約して一旦解散としました。統国寺には1989年11月に壊されたベルリンの壁の一部が鎮座しており、間近に見ることができます。また江戸時代の文化人の墓・塚が祭祀された墓地を抜けると、先ほど渡った河底池にかかる朱塗りの欄干が、緑色の池に映える様を俯瞰することができました。
全行程を無事に終了し、予定の解散時刻となりました。天候に恵まれ、ウォーキングのあとに感じる軽い疲れと喉の渇きを癒すとともに、次回のウォーキングをより一層充実したものにしようと、天王寺駅近くのお店で反省会を持ち、参加者の皆さんから貴重なご意見を賜り、解散しました。
幹事 吉田修一・日野育子

